SF小説が好きでよく読みます。
しかし、はじめの頃は
そういう先入観を持って敬遠していました。
なぜなら、はじめに手にした本が、海外翻訳の難解な作品だったからです。
SF小説の紹介記事では、こういった海外翻訳の本をオススメする記事が多く見られます。
しかし、入門用としてはかなり敷居が高いと感じます。
そういうわけで、当時の自分のようなSF慣れしていない方をターゲットに記事を書いています。
「読みやすい・作者が日本人・ストーリーが面白い」この三点を重視してSF小説を紹介します。
目次
読みやすい!おすすめ日本のSF小説
それでは、自分が読んだことのある中でおすすめのSF小説を10選紹介します。
どれも読みやすく、かつストーリーが面白いものを厳選しました。
ジェノサイド
イラクで戦うアメリカ人傭兵と、日本で薬学を専攻する大学院生。まったく無関係だった二人の運命が交錯する時、全世界を舞台にした大冒険の幕が開く。アメリカの情報機関が察知した人類絶滅の危機とは何か。そして合衆国大統領が発動させた機密作戦の行方は。
まずこの本の何が面白いって、生死をかけた手に汗握る展開にハラハラドキドキします。
未知のウイルス、人類滅亡の危機、超人類の登場…。
そんな好奇心を掻き立てられる要素が満載のストーリー。
アメリカ、コンゴ、そして日本の三国の思惑が軍事と科学の分野で干渉する、さながらハリウッド映画のような壮大な物語です。
展開が全く読めず、続きが気になって本をめくる手が止まらない。
そんな一気読み必至の一冊。
know
超情報化対策として、人造の脳葉“電子葉”の移植が義務化された2081年の日本・京都。情報庁で働く官僚の御野・連レルは、情報素子のコードのなかに恩師であり現在は行方不明の研究者、道終・常イチが残した暗号を発見する。その“啓示”に誘われた先で待っていたのは、ひとりの少女だった。道終の真意もわからぬまま、御野は「すべてを知る」ため彼女と行動をともにする。それは、世界が変わる4日間の始まりだった―
高度な情報処理能力を有するデバイス「電子葉」の脳への埋め込みが義務化された未来の超情報化社会が舞台。
この電子葉の誕生で、人々は欲しい情報をいつでも、瞬時に得られるようになりました。
そんな中、電子葉を発明した天才科学者が、突然に失踪するところから物語が始まります。
なぜ彼は失踪をしたのか、そしてこの超情報化社会が行きつく先には何があるのだろうか。
難しそうな内容ですが、軽快な文章でスラスラと読めてしまいます。
情報でランク分けされる世界や、電子葉を利用した電脳バトル、電子葉よりも上位の存在「量子葉」の登場ー。
そんなSF的なガジェットや設定が非常に面白く、好奇心を掻き立てます。
ハーモニー
21世紀後半、〈大災禍(ザ・メイルストロム)〉と呼ばれる世界的な混乱を経て、 人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげていた。 医療分子の発達で病気がほぼ放逐され、 見せかけの優しさや倫理が横溢する“ユートピア”。 そんな社会に倦んだ3人の少女は餓死することを選択した―― それから13年。死ねなかった少女・霧慧トァンは、世界を襲う大混乱の陰に、 ただひとり死んだはすの少女の影を見る――
体内を常時監視する医療分子によって、常に最善の措置や提案がなされるー。
これにより病気や苦痛が取り除かれた世界。
しかし、それは同時に個人が自らの意思で選択することを奪っている社会です。
そんな息苦しい世界を嫌悪し、抵抗しようとした少女たちを描いた作品。
メッセージ性の強い内容で、幸福とは何かについて考えるきっかけをくれる作品です。
こう書くと難しそうですが、3人の女の子を登場させることで上手く取っつきやすく調理しています。
しかし、きちんと読むと読後は脳が焼けるような感じがするほどのハードさも兼ね備えている作品です。
新世界より
1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖(かみす)66町には純粋無垢な子どもたちの歓声が響く。周囲を注連縄(しめなわ)で囲まれたこの町には、外から穢れが侵入することはない。「神の力(念動力)」を得るに至った人類が手にした平和。念動力(サイコキネシス)の技を磨く子どもたちは野心と希望に燃えていた……隠された先史文明の一端を知るまでは。
この中で一番の小説はどれですか、と問われたらこの一冊を挙げます。
何といっても世界観の練り込みがものすごい。
1000年後の日本が舞台です。
そのころ、人々は「呪力」とよばれる不思議な力を持つようになっています。
そんな世界での、呪力を持った人間、そして異形の生き物「バケネズミ」との戦いを描いた作品。
上中下と三冊に渡る長編作品なので、なかなか取っつきにくさがあります。
しかし、その長さを感じさせないくらい、あっという間に夢中で読めてしまいます。
読みやすさ、エンタメ性とどれをとってもピカイチ。
失われた町
ある日、突然にひとつの町から住民が消失した―三十年ごとに起きるといわれる、町の「消滅」。不可解なこの現象は、悲しみを察知してさらにその範囲を広げていく。そのため、人々は悲しむことを禁じられ、失われた町の痕跡は国家によって抹消されていった…。残された者たちは何を想って「今」を生きるのか。
30年ごとに起こる「消滅」という現象。
消滅は、ひとつの町からその住民全員の姿を忽然と消します。
その後も、町に近づく者や消滅を悲しむ者をも汚染し、抹消していきます。
本作品は、そんな消滅により家族や大切な人を失った人々の物語。
彼らがその理不尽に抗ったり、悲しみと向き合ったりして生きる様を描いていきます。
そんな心に響くヒューマンドラマが、登場人物それぞれの視点で展開されます。
途中で喪失感に胸を抉られるような気持になりますが、最後は希望が顔を覗かせる。
とても静かで、美しい小説です。
塩の街
塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女、秋庭と真奈。世界の片隅で生きる2人の前には、様々な人が現れ、消えていく。だが―「世界とか、救ってみたくない?」。ある日、そそのかすように囁く者が運命を連れてやってくる。
宇宙から来た隕石により、人々が次々と塩になってしまいます。
そんな「塩害」という災厄に見舞われた世界。
いつ自分が塩になって死ぬか分からない、そんな時代に生きる人々。
こう書くと硬派SFっぽいですが、実際はそこで出会った男女の青春ラブストーリーがメインです。
著者自身が「大人用ライトノベル」と表現しているように、とても読みやすい。
読書慣れしていない人でもスラスラ読めると思います。若い人におすすめ。
空の中
200X年、謎の航空機事故が相次ぎ、メーカーの担当者と生き残った自衛隊パイロットは調査のために高空へ飛んだ。高度2万、事故に共通するその空域で彼らが見つけた秘密とは?一方地上では、子供たちが海辺で不思議な生物を拾う。大人と子供が見つけた2つの秘密が出会うとき、日本に、人類に降りかかる前代未聞の奇妙な危機とは―すべての本読みが胸躍らせる、未曾有のスペクタクルエンタテインメント。
高度2万メートルに未知の超巨大知的生命体が出現。
未知の生命体の対話、人間との共存、世界存亡の危機…。
この生命体を主軸に、SF模様のストーリーが展開していきます。
登場人物一人ひとりの発言に、何度も胸を突かれる。
読後は温かくほっこりさせてくれるそんな作品。
紫色のクオリア
自分以外の人間が“ロボット”に見えるという紫色の瞳を持った中学生・毬井ゆかり。クラスでは天然系(?)少女としてマスコット的扱いを受けるゆかりだが、しかし彼女の周囲では、確かに奇妙な出来事が起こっている…ような?
※ライトノベルです
内容に関して書くと即座にネタバレに繋がってしまいます。
なので上述したあらすじ以上は書けないのが残念。
ぜひ一度本を手に取って読んでほしいです。
量子力学など各所に知的好奇心をくすぐられる話が散りばめられていてアドレナリン全開。
ライトノベルだと思って侮るなかれ。
イリヤの空、UFOの夏
「6月24日は全世界的にUFOの日」新聞部部長・水前寺邦博の発言から浅羽直之の「UFOの夏」は始まった。当然のように夏休みはUFOが出るという裏山での張り込みに消費され、その最後の夜、浅羽はせめてもの想い出に学校のプールに忍び込んだ。驚いたことにプールには先客がいて、手首に金属の球体を埋め込んだその少女は「伊里野可奈」と名乗った…。
※ライトノベルです
20年近く前の作品ですが、最強のライトノベルにして最強のSF小説。
その評価は今になっても色褪せることはありません。
SFの中でも、いわゆる「セカイ系」と呼ばれるジャンルに分類される作品です。
(セカイ系に関する詳細はググってください)
どこか懐かしく、爽やかで、そしてもの悲しい物語。
毎年夏になるとこの作品を思い出します。全4巻。
終わりに
大好きなSF小説の魅力を伝えたくて、おすすめを紹介する記事を書きました。
これを機に、「SF小説って面白い!」ということを一人でも多くの人に知ってもらえたら嬉しいです。