「技術系公務員の勉強方法の解説」がネット上にあまりにも少ないことが気がかりでした。
そういうわけで、これから受験を考えている方の参考になればと、記事を書いています。
自分が合格したことのある「都庁・特別区」の勉強法を、当時の経験をもとに解説します。
※専門試験に関しては、自分が受験した電気区分のみの解説になります
公務員試験の勉強を始める前にすべきことをまとめました。
実際に試験を受ける際に、知っておくと便利なことをまとめました。
目次
技術系公務員とは?一般職や事務系との違いは?
公務員と聞いて、一般に連想されるのは「行政職(事務職)」でしょう。
しかし、これ以外にも公務員には「技術職」というものが存在します。
行政職は文系の人が採用されますが、技術職は主に理系の人が担います。
この技術職は、専門分野により、それぞれ区分に分かれているのが特徴です。
たとえば「土木・建築・機械・電気」などの専門区分が存在します。
こういった専門分野を生かし、技術系の職務をおこなうのが公務員技術職です。
理系公務員は合格しやすい?勉強はいつから?
公務員技術職になるには、行政職と同様、各自治体で実施される公務員試験に合格する必要があります。
公務員の技術職は、行政職と比較すると倍率は非常に低いです。
区分にもよりますが、都庁・特別区の技術職だと大体2~3倍程度が平均です。
行政職が10倍近い倍率が普通であるのと比較すると、大きな違いがありますね。
つまり、公務員の技術職は、行政職と比べると合格が容易であるといえます。
公務員技術職の試験に受かるまでの勉強時間は?
周りの都庁・特別区技術職に合格者した人の話を聞くと、筆記試験の勉強期間は「3か月~半年くらい」が多いです。
勉強方法は独学の人が多く、予備校に通っていたという話はほとんど耳にしませんでした。
対して事務職は、1年以上の長期間にわたり予備校に通いながら勉強する人が大半です。
比較するとかなりの差があります。
ちなみに自分が合格したときも、期間は3ヶ月で独学での勉強でした。
各試験科目の概要とおすすめ参考書は?
ここからは、実際に試験の勉強方法について解説していきます。
はじめに、各試験科目の概要について説明します。
都庁・特別区の技術職の筆記試験は、全部で三科目あります。
それぞれ「教養試験」「論文試験」「専門試験」と呼ばれるものです。
このうち「教養試験」と「論文試験」は各専門区分(土木・建築・機械・電気など)で共通の問題を使用します。
「専門試験」は、各専門区分それぞれの専門科目に沿った内容です。
たとえば、電気区分なら電気回路や電力に関する問題が出題されます。
なお、試験内容の詳細は各自治体のHPに詳しく載っていますので、そちらを参照ください。
教養試験:配点の多い数的処理を中心に勉強すべし
教養試験は40問の選択解答方式です。
さまざまな教科から問題が出題されるのが特徴です。
具体的には、現代文、英語、数的処理、時事、自然科学、人文科学、社会科学など。
ちなみに、問題数は「数的処理>>時事、現代文、英語>その他」の順で多くなります。
特に数的処理の問題数が圧倒的に多いので、重点を置いて勉強すべきです。
2018年は都庁19問、特別区18問と約半分が数的処理からの出題でした。
数的処理が完璧にできれば、他の教科は勉強せずとも教養試験をパスできる可能性が高いといっても過言ではありません。
おすすめの参考書は「数的推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱」「畑中敦子の数的推理ザ・ベストプラス」「畑中敦子の資料解釈ザ・ベストプラス」の三冊。
数的処理に関しては、あらゆる問題に対応できるよう、参考書を複数こなした方が良いです。
時事に関しては「速攻の時事」が地方公務員試験の参考書としてはもっとも人気があります。
しかし、都庁・特別区の時事の出題傾向は少し特殊であり、この参考書では対応できない問題が多く出されます。
本ブログでは、都庁・特別区に特化した参考書である「東京都・特別区のパーフェクト時事」をおすすめします。
また、試験直前のニュースに関しては参考書ではカバーできないため、新聞を読むなどして勉強しましょう。
現代文に関しては、過去問をやって問題なく解ける場合は、特に対策の必要はありません。
躓くようなら「公務員試験無敵の文章理解メソッド」を一通り読んでおけば大丈夫です。
英語は、かなり個人差が大きい科目です。
過去問を見てある程度読めるようなら、学生の頃に使用した単語帳くらいを復習しておけば良いでしょう。
全く分からないようでしたら、思い切って捨ててしまうのが無難です。
これは労力とそれで得られる得点が割に合わないためです。
技術職の教養試験のボーダーは行政職と比べても低いので、英語を捨てても他でカバーすれば何とかなります。
それ以外の科目に関しては「一般知識出るとこチェックシリーズ」を一通りやれば十分です。
この参考書の内容は、出題頻度ごとにA、B、Cとページが分かれています。
自分はCまで暗記するのは骨が折れると思い、重要度の高いAとBのみの暗記で臨みました。
それでも、過去問や本番の試験では
「Cまでやっておけばよかった」
という問題には特に出くわさなかったので、これで十分でした。
論文試験:試験特有の論文の書き方を取得するのがコツ
論文試験は軽視されがちですが、教養試験、専門試験と点数の配分は変わりません。
すなわち、他の二科目と同じくらい重点を置いて勉強すべきです。
まずは公務員試験特有の論文の書き方と、各種社会問題とその解決案を頭にインプットする必要があります。
そのための参考書としては「1週間で書ける!! 公務員合格作文」と「公務員試験無敵の論文メソッド」がとても分かり易かったので紹介しておきます。
この二冊を読んだ後は、実際に色々なテーマで論文を書いてみましょう。
実戦を通して、文章を書く感覚を身につけてください。
書いた論文は添削を利用しても良いですが、そこまでしなくとも大丈夫です。
技術職の論文試験なら、意味の通る論文かつ字数制限を満たしていれば、十分に合格点は取れるからです。
また、試験本番では最新のニュースなどから出題されることも多いので、常日頃から情報にアンテナを張っておくことも必要です。
専門試験(電気):電検三種の参考書を使うのがセオリー
電気の専門試験に関しては、電検三種の勉強がそのまま試験対策につながります。
したがって、勉強も電検の参考書を使うのがセオリーです。
電検三種は全部で4科目ありますが、法規に関してはまず出題されないので、勉強しなくとも大丈夫です。
優先順位は「理論>機械>電力」になります。
よく「都庁・特別区の電気専門は理論分野だけ勉強しておけばよい」
という言葉を耳にしますが、近年はそうでもないです。
具体例を挙げると、H30年の都庁・特別区の試験では機械分野の出題範囲が増えました。
理論だけの勉強では、全体の5割も点数が取れません。
したがって、可能な限り機械・電力分野の勉強もしておくべきです。
参考書は「みんなが欲しかった!シリーズ」が圧倒的におすすめ。
去年電検三種受験のためにこちらの参考書を購入したところ、とても分かり易かったです。
この参考書の問題を解けるようになれば、間違いなく合格点は取れます。
この参考書で物足りないという方は、「スーパー過去問ゼミ」をやっておけば万全です。
(ただし、少々オーバーワークだとは思います)
また、機械分野の「照明」や「電気化学」など、都庁・特別区の試験では出題されない単元もあります。
出題範囲は各自治体の募集要項で確認できますので、事前によくチェックしてください。
ところで、試験の勉強をするときに一番大事なのが、はじめに過去問を解くことです。
過去問をやって出題の傾向や、自分の得意不得意を知ってから勉強するか否かで、その後の効率が全然違います。
なので、面倒くさがらずにはじめは過去問を解いてみることをおすすめします。
過去問は、各自治体の試験情報ページで公開しています。
リンク⇒【東京都庁筆記試験過去問】【特別区筆記試験過去問】
筆記試験の合格ラインですが、以下を満たせば十分に合格は可能らしいです。
・教養試験と専門試験⇒6割以上の正答率
・論文試験⇒指定の文字数を埋め意味が通っている
「らしい」と書いているのは正確な情報が不明だからです。
都庁・特別区共に、それぞれの問題の配点やボーダーが公開されていません。
実際に試験を受けたときの体験談
まず、公務員試験の勉強を始める前に過去問を解いてみました。
・教養試験⇒4割
・専門試験⇒大問4つ中1問解けるか解けないか
はじめはこれくらいのレベルから勉強をスタートしました。
そこから約3ヶ月の間、独学で勉強しました。
当時は大学院の研究と並行しながらだったので、勉強時間は毎日3時間ほど。
前述した参考書は一通りやりました。
最後に、本番の試験での自己採点の結果です。
そこそこ余裕をもって合格できたと思います。
・教養試験⇒7割
・専門試験⇒3完1半(4問中)
・教養試験⇒8割
・専門試験⇒2完2半(4問中)
終わりに
自分が試験を受けた当時、技術系公務員の勉強法が分からず苦労した記憶があります。
その経験から、これから公務員試験を受ける方の参考になればと思い本記事を書きました。
質問があれば分かる範囲でお答えしますので、お気軽にコメント欄で聞いてください。