ブラック企業

体育会系の軍隊みたいな研修!電力会社の新入社員研修がつらい話

 

電力会社を退職予定の中の人です。

入社後まもなくおこなわれた、電力会社の新人研修について紹介します。

 

電力会社の研修では、「軍隊・スパルタ」のような前時代的な指導がおこなわれています

 

目次

新人研修は研修施設の寮で寝泊まり!相部屋は嫌?

研修中は寮生活!楽しいよ!

研修期間中は、「研修センター」と呼ばれる施設で全員が生活します。

この研修センターは山奥の僻地にあり、近くにコンビニ等もありません。

 

そんな環境で平日はずっと研修所に泊まり込み、週末だけは帰宅が許されます。

部屋は2~3人の相部屋がそれぞれ割り振られ、プライベートはありません。

加えて、インターネットやテレビなどの娯楽もありません。

 

配電部門の研修期間は、おおむね半年程度です。

つまり、このような研修所生活を半年近くにわたり強制されます。

 

そんな生活、研修前は「絶対に嫌だ…」と思っていました。

しかし、研修所での寮生活は、正直めちゃめちゃ楽しかったです!

 

研修後の自由時間に、

 

食堂に集まって、同期のみんなとお酒を飲んで騒いだり……

部屋に集まって、一緒に人狼ゲームやモンハンをして楽しんだり……

 

研修の内容は酷いものでしたが、研修所での同期との生活はすごく楽しかったです。

むしろ、それだけが救いでした。

 

配電部門の研修はきつい!初日から理不尽に怒られる

超れのラジオ体操から立ち込める暗雲

研修初日の話をします。

研修期間中は、毎朝8時に研修所のグラウンドに集合し、全員で朝礼をおこなう決まりでした。

 

朝礼のはじめは、朝のラジオ体操からスタートします。

ラジオの掛け声に合わせ、全員が一斉に体操をはじめました。

 

すると、その直後に

お前ら!チンタラやってんじゃねーよ!

 

突如、後方から研修の指導員の怒号が聞こえてきました。

 

そちらを振り返ると、なにやら大声で叫んでいます。間違いなく怒っています。

その後、その指導員は手に持っていた画板を地面に叩きつけました。

見間違いかと思って二度見しましたが、どうやら現実の光景のようです。

 

特に、ふざけて体操をしていた人がいたのではありません。

どうやら、指導員はわたしたち全員に対して怒っているようでした。

 

そうして初日の朝から、指導員のお説教が始まります。

話によると、わたしたちの体操のやり方が違うことが不満なようです。

具体的には、

 

 

手の動きに合わせて膝を屈伸する「手足の運動」という体操があります。

この体操では、腕を開いた状態(上の絵を参照)のとき、かかとを上げなければならないそうです。

わたしたちがかかとを下ろす「間違った方法」で体操をしていたため、怒っていたようです。

 

正直、どうでもいいと思いました。

ひとまずはお説教を聞き、指導員の怒りが収まったところで、最初からのやり直しを命じられました。

 

その後も、次の体操に移るたび、何度も何度も怒られ続けました。

 

重心の位置が違う!
指先がピンと伸びていない!

 

といったように、こと細かに指導が入ります。

その度に激しい怒鳴り声と、最初からのやり直しが待っています。

 

結局、初日朝から1時間以上ラジオ体操をする羽目になりました

 

これはとんでもない会社に来てしまった…

素直にそう思いました。

 

電力会社では正しいラジオ体操をすることがとても大切なようです。

 

座学もスパルタ研修!毎日大声で怒鳴られる日々

座学でも指導員は絶好調!

その後の座学でも、指導員の理不尽な指導は続きます。

いわゆる「謎ルール」で不意に怒られることが多く、納得がいきませんでした。

 

たとえば、こちらに非がある内容で怒られるのは、「仕方がない」と思い割り切れます。

授業中の私語、予習をしない、テストの出来が悪い……などがそれに当たります。

そういった場合は、こちらも素直に反省できたでしょう。

 

ところが「何が悪いか理解できないこと」で怒られることが多く、日々疑問を感じていました。

 

1つ例を挙げます。

たとえば、発表などで挙手をするときがあるでしょう。

・指先がピンと伸びていない

・肘が少しでも曲がっている

・右手ではなく左手が上がっている

この中のうち、1つでも守れていないと、途端に怒鳴られます。

その後はお決まりの、長い長いお説教が待っています。

 

挙手の姿勢と業務に、いったい何の関係があるのだろう

そう、思わずにはいられません。

 

この例にとどまらず、至る所に指導員が決めた意味のないルールが散りばめられています。

ルールといっても事前の説明はないので、最初はみんな知らずに地雷を踏み、怒られます。

その度に指導員のお説教が始まり、授業は中断します。

 

意味のないルールでも、取り合えず守らなければならないのが電力会社の社風のようです。

 

新人にサービス残業を強要!レポートの宿題も!

研修中は、カリキュラムの予習・復習は必須です。

 

カリキュラム中に予習・復習をする時間は与えられません。

つまり、業務後にやることを強制されます。残業代はもちろん出ません

 

やっていない場合は、すぐにバレます。

提出が必要な宿題を課されたり、抜き打ちでノートのチェックがあったりするからです。

サボっていることがバレた場合、ものすごい勢いで叱責されます。

反省文を書かされた人もいました。

 

宿題等のボリュームは、かなりのものでした。

研修期間中は毎日2~3時間くらいサービス残業をしなければなりませんでした。

 

軍隊研修の「集団行動訓練」が超厳しかった!

団体行動訓練はきつかった!

研修中の「団体行動訓練」というカリキュラムについて紹介します。

この訓練は、三日間に渡っておこなわれました。

 

訓練の日は、全員作業着を着て、研修所のグラウンドに集合するよう命じられます。

 

集団行動訓練一日目:終日かけての声出し訓練!

訓練初日。

当日まで、わたしたち研修生には、カリキュラムの詳細は明かされませんでした。

 

一体、どんなことをするんだろう?

そう、疑問に思いながら、集合場所のグラウンドに向かいます。

研修生全員が集合したところで、指導員から本日の訓練内容が告げられます。

 

今から一人ずつ「①所属②氏名③研修での抱負」を大声で宣誓しもらう

 

いわゆる「声出し訓練」というものです。

 

指導員の指示に、ざわつく研修生たち。

最初の一人が、おそるおそる前に出てきます。

そして、グラウンドの向こう側へ向けて、大声で叫びます。

 

〇〇所属の〇〇です!一人前の配電マンになります!
声が小さい!やり直せ!

 

容赦なく怒鳴る指導員。

 

〇〇所属の〇〇です!一人前の配電マンになります!
やり直し!

 

完全なる公開処刑でした。

結局彼は、指導員からOKが出るまで、計10回くらいやり直しをさせられていました。

何度も大声を出したせいで、最後の方は声がかすれて見ていて辛かったです。

 

この宣誓を全員が合格できるまでやるのが、団体行動訓練初日の内容でした

 

これが体育会系か」と、正直ドン引きしました。

 

みんな指導員から怒号を浴びながら、何度もやり直しを命じられます。

一発で合格をもらう人はおらず、声が枯れるまで、繰り返し繰り返し、叫び続けます。

 

全員が終わった頃には、日も暮れ、終業時間になっていました。

 

こんなことをして、仕事と何の関係があるんだろう

そう思わずにはいられません。

 

集団行動訓練二日目:この日が一番しんどかった!

訓練二日目。この日は、あいにくの大雨でした。

中止にはならず、全員カッパを着てグラウンドに集合です。

 

前日同様、指導員から本日の内容が告げられます。

今日は礼式の基本動作をやってもらう

 

礼式の基本動作。

回れ右、右向け右、敬礼」など、団体でおこなう動作のことをいいます。

多くの人が小学校に入学したての頃、体育の授業で最初にやったアレです。

 

着帽」「敬礼」などを含め、全部で10以上の動きがあります。

その中から、指導員がランダムで言う掛け声に合わせ、全員で指定の動作を素早くおこなわなければなりません。

実際にやってみると、掛け声から動作までの間が短く、かなり集中力が必要でした。

 

当然ながら、その中で遅れる人、間違う人が出てしまいます。

ミスをした人に対しては、指導員の名指しでの怒号が待っています。

 

やる気がないなら帰れ!

 

そんな息の詰まる訓練を、丸一日やりました

 

最後に、終業30分前になって

 

全員が完璧にできたら今日は終わる!

 

そう、指導員が言いました。

結局、何度やっても間違う人が出てしまい、一時間のサビ残をすることになりました。

 

思い返すと、この二日目が精神的にも肉体的にも一番辛かったです。

 

集団行動訓練三日目:つらいカリキュラムも今日で最後!

厳しい訓練も、いよいよ三日目の最終日を迎えました。

 

三日目の内容は「団体行進」でした。

イチ、ニ、イチ、ニ」の掛け声に合わせ、並んで行進をするアレです。

 

何時間も行進をし続けるため、中には足を攣る人も出てきました。

また、大声を出すので喉も痛くなり、とても過酷な訓練でした。

 

そんな訓練を朝から昼過ぎまで行い、行進も中々形になってきた頃。

終業までの2時間を使って「発表会」なるイベントが大々的に開催されます

 

発表会の内容は、団体行動訓練でやった「礼式の基本動作」と「団体行進」を、会社の偉い人の前で披露するというもの。

このために、わざわざ本店から部長クラスの偉い人が数人、研修所に来ていました

 

電力会社の役員の人は、暇なのでしょうか。

 

お偉いさんが来ているからか、発表前はかなり異様な雰囲気に包まれていました。

指導員も、緊張のためかいつも以上にピリピリしているように見えます。

 

そんな空気の中、みんなで力を合わせ、なんとか無事にやり切ることができました。

そして、部長から、

配電部長
配電部長
素晴らしい発表だった、感動した!

 

という薄っぺらいありがたいお言葉を頂戴しました。

指導員からも労いの言葉をかけられ、謎の祝福ムードに包まれます。

 

正直、意味が分かりませんでした。

 

研修の最終日!洗脳される人、バックれる人もいた

そんなこんなで、半年間の地獄の研修も、ようやく最終日になりました。

最後に、これまで散々苦しめられた指導員からの挨拶がありました。

 

厳しくしたけど、よく頑張ったな!

 

この研修を乗り切れたなら、今後の仕事も大丈夫だ

といった内容の話を、延々とされました。

 

同期の中には、それを聞いて感動して涙を流す人もいました

しかし、自分は何も感じませんでした。

 

とんでもない会社に入ってしまった。研修後もこんな感じだったらどうしよう……

そういった不安で、自分の頭の中はいっぱいでした。

(実際に、研修後の職場はもっと酷い有様でした……)

 

大卒で電力会社に就職して後悔!電力マンはホワイトや勝ち組ではない はじめまして。某電力会社の三年目社員として働いています。 学生のころ、電力会社に内定をもらったときは本当に嬉しかっ...

研修後の職場の劣悪な環境については、こちらの記事で紹介しました。

 

唯一良かったことは、研修を通して研修生同士の仲がすごく深まったことです。

(指導員という、共通の敵がいたお陰だと思います)

 

ちなみに、この研修中に同期が一人バックれました。

土日に自宅に帰ったまま、月曜日からの研修に来ませんでした(そのまま退職しました

その後の営業所はもっと酷かったことを考えると、懸命な、極めて賢い判断といえます。

 

終わりに

大学を卒業して社会人になり、このような環境に身を置くとは夢にも思いませんでした。

電力会社のような大企業で、前時代的な新入社員研修をしているのは非常に驚きでした。

 

今になって思うと、はじめに

この会社を辞めたい

と思ったのはこの新人研修からでした。