こんにちは。元電力会社社員です。
電力会社の「ブラック職場」で仕事をしていた頃のエピソードを紹介します。
今回は「仕事のバックレ(夜逃げ)」についてお話したいと思います。
私の職場では、過酷な労働環境に耐えかね、仕事をバックレる人が珍しくありませんでした。
(アルバイトでは時折耳にする「バックレ」ですが、正社員でもバックレる人がいます!)
電力会社のブラックさについては、こちらの記事で紹介しました!
私が入社してから辞めるまでの二年半のうちになんと「計3人」もの正社員のバックレに遭遇しました!
短期間のうちにこの人数は、かなり異常だと思います笑
正直に言うと「バックレ」という行為は、社会人として最低のマナーです。
しかし、そんな善し悪しの判断ができなくなるくらい、過酷な労働環境だったのも事実です。
当時のことを思い出しながら、そのエピソードを紹介します。
目次
どうして電力会社の社員は失踪する?辞めたい理由を考察!
なぜ、私の職場ではこれほどまでにバックレる人が多かったのでしょうか。
当時働いていた身からすると、だいたい以下のような理由だと思います。
①残業が多いなど、仕事がきつい
②体育会系の職場で、パワハラが横行している
③大半の社員が寮住みで、心身が壊れた際の逃げ場がない
自分の所属していた電力会社の配電部門では、労働時間の長さと上司からのパワハラが深刻な問題でした。
心身共に疲弊しやすい環境が揃っていたと思います。
(現に、入社してからの二年半で同期の何人かはメンタルを壊して休職をしました)
それに加えて、寮という環境もバックレを誘因する大きな理由になっていたと思います。
電力会社の社員は、大半が社員寮で生活します。
この寮のほとんどは、風呂やトイレなどが寮生全員の共用です。
つまり、メンタルを壊し会社を休んだとしても、寮内で会社の同僚に遭遇してしまいます。
つらいときに部屋に引きこもり心身の回復を待つ、というのが難しい環境です。
この逃げ場のなさも、バックレ(夜逃げ)を招く理由の1つだと思います。
エピソード①:試用期間の研修期間中にバックレる
ここからは、実際にバックレを目撃した体験談を紹介していきます。
はじめてバックレに遭遇したのは、一年目の新入社員研修のときでした。
電力会社の新入社員研修はたいへん過酷です。こちらの記事で紹介しました。
研修期間中、新入社員は「研修センター」と呼ばれる施設で生活します。
この研修センターは山奥の僻地にあるので、平日はずっと研修所に泊まり込みです。
つまり「月曜朝に研修所に集合⇒研修所での研修⇒週末に各々の自宅へ帰る」のサイクルを繰り返します。
しかし、ある日の月曜朝、一人の新入社員が時間になっても研修所に現れませんでした。
「寝坊かもしれない」そう思い研修所の教官が電話をするも、繋がりません。
彼は寮に住んでいたので、念のため寮母さんに連絡して部屋の中を確認してもらいました。
しかし、部屋には誰もいませんでした……。
事件に巻き込まれた可能性もあるため、捜索願が出されました。
しかし、そのまま数日が経過しましたが、足取りは一向に掴めませんでした。
彼が見つかったのは、約一週間が経過してからでした。
なぜか寮に戻ってきていて、そこで無事に身柄を確保されたそうです。
後から聞いた話では、失踪中は県外のホテルにずっと一人で生活していたそうです。
失踪の理由は、研修が辛すぎて投げ出したくなってしまったとのことでした。
余談ですが、この出来事のすぐ後に彼は退職しました。
エピソード②:LINEで退職を伝えそのまま実家に逃げる
次に、二人目の事例を紹介します。
この方は、とても忙しい営業所に勤務していました。
日ごろからサービス残業も多く、心身共に疲弊していたそうです。
ある日の朝、LINEで上司に
「仕事を辞めます。実家に帰ります」
とだけメッセージを残し、その日は出社しませんでした。
実際にその日の朝に荷物をまとめ、寮から遠く離れた実家に帰ったそうです。
以降、彼が出社することはなく、そのまま退職しました。
後から聞いた話によると、以前から上司に辞めたい旨を繰り返し伝えていましたが、了承してもらえなかったそうです。
(普段から「上司に辞めさせてもらえない」と周りの同僚に相談していたそうです)
退職の交渉が上手く行かず、精神的に参ってしまったのでしょうか。
(ある意味、同情の余地がある気もします……)
エピソード③:無断欠勤からそのまま行方不明になる
最後のエピソードは、私が辞めた後の話になります。
同じ職場の先輩の話です。
その先輩は私が辞める前、二人で一緒に業務を担当していました。
(私が退職したらその業務を先輩が一人でこなすのかな、と辞める際に少し考えました)
事件は、私が電力会社を辞めて一ヵ月後くらい経った頃に怒りました。
急に、電力会社時代の上司から電話がかかってきました。
(今更何の連絡だろう……)
そう思いながら電話に出ると、驚くべき内容が伝えられます。
なんと、以前一緒に仕事をしていた先輩が失踪して、一週間くらい見つかっていないそうです。
上司に「何か心当たりはないか」と問われますが、分からないと伝え、電話を切ります。
それからまた一週間後、再び以前の職場から電話がかかってきます。
先輩は無事で、近くのホテルで見つかったという連絡でした。
夜逃げして、それからずっとホテルに隠れて過ごしていたそうです。
(それ以上のことは聞いていないので、その後どうなったのかは分かりません)
バックレた理由は何となくですが、私のせいな気がします。
私が辞めたことで、先輩が二人分の仕事を一人で抱え込まなければならず、それに耐えかねてしまったのかもしれません。
少し申し訳ないことをしたな、今でもたまに思い出すエピソードです。
バックレた職員のその後は?懲戒解雇?損害賠償はどうなる?
気になる「彼らがバックレたその後」についてです。
①、②のどちらもバックれた後、本人の希望で会社を退職することになりました。
(③の先輩については、連絡を取っていないので分かりません)
このように会社をバックレた場合「懲戒解雇」になり経歴に傷が付いたり、「損害賠償」を請求されたりするケースがあるそうです。
しかし、今回の①と②の事例では、そのようなことはなかったそうです。
バックレ後に出社はしていませんが、残りの有給分の給料ももらえたし、退職方法も普通に退職届を出して退職する「自己都合退職」として処理されたと聞いています。
終わりに ー バックレせざるを得ないブラック企業にも問題がある
電力会社時代の失踪エピソードを紹介しました。
二年半の間に3人ものバックレに遭遇するのは、今思うととても異常な環境でした。
バックレは社会人として常識のない行動です。
しかし、それを選択せざるを得ないくらい、みなさん心身共に追い詰められていたのだと思います。